2016年8月28日日曜日

我がマイクロソフト人生に一片の悔いなし!

金曜日が最終出社日でした。形式的には今日までは日本マイクロソフトに在籍しているので、まだ会社のメールを見たり、やり残した仕事を家でやっていたりします。


金曜日の17:15から、私の卒業セレモニーを行っていただきました。通常金曜日は在宅勤務の方が多いのでオフィスには人が少なく、また月末なのでOEM営業、量販店営業の皆さんともに大変忙しいのですが、たくさんの方にご参加をいただいて門出を祝っていただきました。

正直感無量で泣きそうだったのですが、必死に涙をこらえ、最後のスピーチも淡々と話しました。


最後にお世話になったコンシューマー&パートナーグループ (CCG)、OEM統括本部、そしてWindows本部の仲間たちから寄せ書きをいただきました。家に帰ってすべて拝見しましたが、この時は涙が出ました。


デベロッパーエバンジェリズム統括本部の皆さんからも寄せ書きをいただいたのですが、封筒は親友で、日本マイクロソフトの中でもトップエバンジェリストのひとりである高橋忍さんが作ってくれました。


そして有志の皆様からいただいたお菓子。GENDYのプレミアムビターキャラメルバーです。これがとてもおいしい!

そのほかに、数万円分の商品券もいただいてしまい、本当に感謝感謝です。

あらためて振り返ってみると、日本マイクロソフトの8年8か月間は、得難い素晴らしい経験をさせていただき、たくさん成長することができました。2008年1月の初出社日は、本当に右も左もわからない新人で、人前で話すこともできず、ろくにマーケティングを語ることもできませんでしたので。

明日からは新しい会社でさっそく仕事が始まりますが、今後とも私はWindowsに100%コミットします。そして自称「VAIOのアンバサダー」として、VAIOも応援していきます。そしてFFXIVにも少し時間を割きます(-_-;)

今後とも公私共にお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

2016年8月8日月曜日

「Windowsバカ」卒業のお知らせ

親愛なる読者の皆様、フォロワーの皆様、

突然の発表で大変恐縮ですが、このたび8月末をもちまして、8年8ヶ月勤めた日本マイクロソフト株式会社を卒業することになりました。最終出社日は8月26日 (金) になります。

公式ブログに突然登場したり、日本時間の8月3日にWindows 10 Anniversary Updateが公開され、Windows陣営がこれから年末商戦に向けて新しいデバイスと共に盛り上がっていくこのタイミングで、「なぜあのWindowsバカが!?」と思われる方が多いかもしれません。

昨年9月に異動してからは、仕事の絶対量が増え、本来のマーケティングよりオペレーションの仕事の割合が増大し、たしかに肉体的にも精神的にもキツくなったのは事実です。

が、そこは大好きなWindowsの、そしてWindowsデバイスの仕事なので、何ら問題ではありませんでした。むしろ、我々にライセンスをお支払いいただいているOEMパートナー様と直接一緒に仕事ができ、Windowsビジネスの根幹を最前線で見ることができる貴重なポジションなので、この上ないやりがいを感じて、高いモチベーションを保って仕事をしていました。

もともと今から20年前、私がアメリカの田舎の州立大学でコンピューターサイエンスを学んでいたころ、当時はWintelが世界を席巻していて、将来はインテルかマイクロソフトのどちらかに就職したいと思っていました。結果的にそれを私が立てた予定より8年も早く達成はしたものの、このままあと10年ぐらい、できれば定年までは日本マイクロソフトで働きたいと思っていました。

それでもこのタイミングで転職を決意。決して何か会社でやらかしたわけでも、クビになったわけでもありません。それはまたしても突然の出会いがきっかけでしたが、自分の意志です。

私も今年で42歳、いろいろな方に言われるのですが、40代は人生で一番脂がのっている時期で、ここで何をしたかがその後の人生、定年するまでの50代、60代の人生とその後リタイアしてからの人生を決めるのだそうです。

このままマーケティングのスペシャリストとして、慣れ親しんだ環境、そして巨大でそう簡単に潰れることもない恵まれた会社で仕事を続けて、さらに経験を積んで仕事のクオリティを高めていくのも良いでしょう。

しかし私自身、今後私がさらに上に昇るために、プレーヤーとしての能力を高めることも大事ですが、マネージャーとして、規模の大小はどうあれ組織を率いてチームとしての成果を出す、そして本社や上の人が決めたことを現場で実践する役になるのではなく、自分で戦略・戦術を決めることをする役になりたいと常々思っていました。

今回まさにそれに相応しい仕事をいただきました。

来月 (正式には8月29日) からは、Fintech業界のスタートアップ企業において、マーケティング活動全般の推進とマーケティング組織全般の統括を部門長として担うことになります。

サービスは去年立ち上がったばかり、マーケティング活動も効果的に行えていないようで、非常に責任は重いです。ただ、転職を決めるきっかけになったそのサービスは、非常に将来有望なものだと私は判断しました。技術的にはシンプルですが、どうして今まで誰もここに目を付けなかったのだろうという類のものです。

マイクロソフトを辞めても、私は引き続き「Windowsバカ」であり続けるつもりです。なぜならば、これまで21年もの間Windows (Windows 3.1からWindows 10まで) のお世話になっており、Windowsのおかげでさまざまなことができるようになり、ここまで来ることができたからです。

Windowsの製品部時代にもWindows 7から8、8.1、そして10と4つのバージョンのWindowsのラウンチに携わっています。前CEOのスティーブ・バルマーが、かつて「Windows is the air we breathe!」と言っていましたが、私にとってはまさにその通りです。これからもWindowsを応援し続けます。

マイクロソフト人生を振り返ると、本当にいろいろなことがありました。

一途なただの情熱の塊、マーケティングの才能も大してなく、当時の実力では絶対に入れないはずでしたが、2007年12月に後に私の上長となる藤本さん (現PayPal、Chief Marketing Officer) との生涯忘れることのない面接で意気投合し、入れていただきました。

最初はWindows Live OneCareというWindowsブランドのついたセキュリティ対策製品のプロダクトマネージャーを務め、負の遺産を処理しながら昨対で売り上げを+120%ぐらいに伸ばし、単月でも予算達成をしてノリにノッてきたところで無念の販売終了。本社のGMとの電話会議は心の中で涙を流していました。

その後Windowsのコンシューマーマーケティングをやりつつ、Internet Explorer 8の製品担当を兼務。Windows 7のラウンチ前は、48時間ほぼ寝ないでヨドバシAkibaのWindows 7発売イベントに参加し、矢口真里さんと共演。プレジデントのスティーブン・シノフスキー (通称:シノ様) の御前でのデモは震えました。


その後IE9、10とIEの専任担当になり、全世界でChrome、Firefoxにブラウザーのシェアを奪われる中、日本だけは9割近いシェアを3年間に渡り堅持して、おかげで賞もたくさんいただきました。

社内でもコンシューマー系だけではなく、法人部門の人たちとも一緒に仕事ができて、丸の内の大企業のエグゼクティブの前で説明をするというような貴重な体験もさせていただきましたし、社外でもいろいろなオンラインのパートナー様と知り合うことができました。スクウェア・エニックスさん (現FFXVの宣伝担当の大藤さん) とも初めてこの時期に仕事をさせていただきました。

Windows 8.1からは、それまでWindowsのラウンチを率いていた私の師匠である大先輩が異動され、Windows 8.1、およびWindows 8.1 Updateのラウンチを代わりに担当しました。Windowsタブレットが一気にシェアを伸ばし、Windows XPのサポート終了に伴う特需等、良い経験をさせてもらいました。

このブログの読者のほとんどはFFXIVプレーヤーの方だと思いますが、吉田さんをはじめとするFFXIVチームと一緒に仕事をさせていただくことになったものこの時期です。

決して忘れることのない2013年4月27、28日のニコニコ超会議2。でもそれ以上に痺れたのが、2013年7月にWindows Updateで配信された定例のセキュリティ更新プログラムの副作用で、8月27日にサービスインするFFXIVのオープニング映像が半分切れてしまうという問題を起こしたことです。

当時社長の樋口さん (現会長) のお力も借りて、本社に修正プログラムを通常有り得ないスケジュールで、無事サービスイン前に出させました。「新生するFFXIVをWindowsのせいで絶対にコケさせてはならない」と、関係者の前で何度も言った気がします。

Windows 10のラウンチ直前に母を亡くし、私自身も精神的、肉体的にも辛くなってきて、この時に外部から良い転職のお話をいただき、一度は転職を考えたりしました。が、同時期に今の部署にお誘いをいただき、Windows 10のラウンチ後になりますが、昨年9月に異動を決意しました。

今の部署は組織としては営業部隊で、私はその部隊と一緒に動くマーケティング担当です。マイクロソフト的な呼び方をすれば、「チャネルマーケティング」とか「セグメントマーケティング」になるのでしょうか。

本流から離れてからも、OEMパートナーの皆様、メディアの皆様とは定期的に食事会やディスカッションを行う機会をいただいて、PC業界の今後について非常に濃い会話ができたと思っています。

また、ユーザーの皆様ともFacebookやTwitterでたくさんお話しをすることができて、生の声が聞けたことは良かったと思います。私自身も常に現場の声をなるべく聞きたいと思っていて、それで店頭イベント等にも積極的に参加をしています。

長くなりましたが、マイクロソフトという会社は本当に素晴らしい良い会社です。福利厚生は日本の一流企業に若干劣るかもしれませんが、最高のIT環境があり、在宅勤務等柔軟な勤務体系があり、そして評価も360°評価で公平です。人をとても大事にしています。

最強エバンジェリストの西脇さん、プレゼンの神様の澤さん、テクニカルエバンジェリストの鑑の高橋忍さんをはじめ、学ぶべき優秀な人もたくさんいます。そして新人だろうが彼等とフランクに会話をすることができて、いろいろなスキルを学ぶことができます。積極性が肝要ですが、自分次第でいくらでも能力を高めていくことができます。

新卒入社・転職は決して簡単ではありませんが、志のある方はぜひ目指してみてください。学歴は気にする必要はありません。なぜなら大学中退の私ですら、ここまで来れたからです。この会社でもっとも必要な資質は「Passion」です。

私の後任もまだ決まっていませんし、社内には候補が見つかりそうにないので、社外から募集することになりそうです。英語は必須ですが、Windows、そしてWindowsデバイスに対する熱い思いがある人は挑戦してみてください。8月26日までなら、私が推薦することもできます。

まだ有給休暇が50日近く残っていますが、最終出社日までほとんど毎日出社をすることになりそうです。とはいえ、仕事のペースは落としていき、エオルゼアにもまた復帰しようと思います。早くメインストーリーを進めたいですし、フィールドオブグローリーにも参加をしたいですから。

最後に、皆様には今まで暖かい応援をいただき、本当にありがとうございました。これからも公私共にお付き合いいただければ幸いです。